見積もり書での業者比較は無意味?
見積もりを取ったら、比較検討をします。
家の塗装の見積もりには、決まった形式がありません。
決まった計算方法というのもありませんので、業者によっては計算方法が異なります。
そもそも、何がちがうために比較が困難になっているのでしょうか?
例をあげてみます。
- 費用の算出方法は業者によって違う
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面積の算出方法がちがう、単価の算出方法がちがうなど、たとえばAの業者が、「㎡」で細かく算出しても、Bという業者が「一式」の値段では、比較ができない。
- 項目の記述の仕方が業者によってちがう
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家は外壁・木部・鉄部などさまざまな素材で構成されている。
Aの業者が「木部○○円」と計算していても、Bの業者が木部も鉄部もごちゃ混ぜに計算されていては、比較ができない。
- 見積書で塗装の品質を確認することは非常に困難
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よく誤解してしまうのは、「塗料の品質」と「重ね塗り」です。
高級な塗料や3回塗る表示があっても、それだけでいい工事ということを判断しないことです。
実際にその通りの工事になるのかは、やってみないとわからない部分というのは必ずしも否定できないからです。
悪質な例を例えれば、一般の塗料を高級塗料の缶に移し替えてつかうという話もあるぐらいです。
- 丁寧な見積書=良質な工事?
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家の傷み具合の状況を見積もりのときに調査し写真つきなどで報告してもらう場合です。
このような報告は自分ではわからない場所を指摘してくれると、その傷みにたいしてきちんと処置をしてくれるという安心感がもてますが、確実な作業をしてくれるというものとは別物です。
もちろん、見積書が丁寧な方が良いことには間違いはありませんが、実際に複数の業者から見積もりをとればわかることですが、
結局のところ合計額と塗料種類の違いだけの判断で終わることが多くなります。
このように、工事の質を見積書だけで判断することは困難ですが、
見積書のとおりの作業をしてくれるという前提の話で、長持ちさせるための重要な項目が明記されているかの確認だけは最低限しておく必要があります。
見積書での業者比較が全くの無意味ということではありません。
見積もり書のチェックポイント
塗料の缶数が明記されているか?
塗料は面積に対して塗る量がある程度定められています。
塗料の数量がすくなければ、塗装の厚みもすくなく長持ちしません。キチンと定められた数量で塗装しますが、これも家によってバラバラです。
たとえば、
触った感触がツルツルした外壁と、外壁の模様の凸凹が大きくザラザラしている外壁では、「塗料の吸い込み」が異なる ので、使用する数量もおおきく変わります。
面積だけでなく、外壁の状態も把握して、できるだけ正確に算出された「塗料の数量」を確認することが重要です。
また、多ければ多いほど良いということでもなく、必要以上に多く計算されても、その分の費用の負担が生じてしまう可能性もあります。
素材の種類ごとに塗料の名前、種類が明記されているか?
基本的に外壁と木部、鉄部の塗料はそれぞれ異なります。
たとえば、木部用の塗料で外壁を塗ることは、おすすめすることではないですし、鉄部用の塗料で木部を塗ることも適切ではありません。
また、鉄部専用のさび止め塗料を、木部に使用してしまうようなことも同様に適切ではありません。
素材によって塗料の種類を使い分けて、さらに色も使い分けなければならないのは、業者の都合で考えれば手間がかかることなので、その分手を抜かれてしまう可能性も大きいといえます。
外壁は外壁用塗料、木部は木部用の塗料というように、家の外装材の素材ごとに専用の塗料で塗装をしてもらうようにします。
重ね塗りの明記があるか?
多くの家の塗り替えの場合、外壁は3回塗りがほとんどです。
木部、鉄部も基本は3回塗装です。
外壁の重ね塗り作業風景ただし、傷みが少ない箇所は2回塗りの塗装で完了できる状況のときもありますが、逆に傷みが激しいときは、3回塗りで収まらず4回塗りになる状況のときもあります。
塗装に一番悪影響をおよぼすのは、紫外線です。
南西と北側では、紫外線による影響がまったくことなります。
たとえば、陽がつよくあたる南西では木部の塗装がバリバリにはがれていても、陽があたらない北側ではツヤが残っているような場合もあります。
このような状況の中では、すべてに3回塗りでは方角によっては、塗り回数が多かったり少なかったりすることもありますが、基本は3回塗りと覚えておきましょう。
下地調整作業の明記があるか?
どんなに質のいい塗料で、重ね塗りをしたところで、塗装(塗膜)がはがれてしまえば、すべてが無駄に終わります。
外壁の下地調整は「高圧洗浄」、
木部、鉄部の下地調整は、おもに研磨作業(ケレン)です。
それぞれの明記がされているかの確認をします。
シーリングやヒビなどの下地処理が明記されているか?
サイディングだったら、目地のシーリングの交換工事が入っているのか、モルタルのヒビ(クラック)が発生していたら、埋めるなどの処置をしてからの塗装になっているかなどの確認をします。
業者ごとの価格差の違い
そして、一番悩むのが業者ごとの価格差のちがいです。
中には数十万円ちがう場合もあります。
その根拠は、見積書を見たところではわかりません。 業者の工事が高い、安いの判断も見積書から判断するには困難です。
強いて言えば、上記の5つの項目の確認が とれたということは、作業にそれなりの手間と時間がかかります。
もし、安い値段の場合は、見積もりに書いてある内容が、実際の作業として忠実に行われなければ意味がないので、業者に直接質問するなどの更なる確認が必要です。
逆に高い値段でも、利益ばかりを上乗せた価格ということも考えられますので、やはり上記項目の5つの確認は必要です。
そもそも、そのような手を抜く業者から、見積もりをとらないためにも、業者えらびから慎重におこないましょう。