外壁塗装は価格 = 品質は間違い!?
果たして何年もつのか、完成をみても分かりにくい外壁塗装。
こちらのページでは、外壁塗装は「工期 = 品質」ということを紹介しておりますが、塗装は価格差によっても例外なく品質に影響があります。
通常であれば、価格が高ければ品質が良い、価格が低ければ品質も低い、という考え方が一般的だと思います。
ただ、悪質な業者も多くいる塗装業界では、価格が高くても必ず品質が良いとは限らないのが常識です。
また、価格が低い = 悪質な工事ということも多々あります。
近くで工事しているから足場代が安い、モデル工事だから安いという理由の場合は、間違いなく工事のどこかでしわ寄せが出ていると思ったほうが賢明です。
綺麗に完成しているからといって、必ず長持ちするのかといえばそうではありません。
では、品質の良し、悪しというのはどこで判断するのでしょう?
基本的には、見える場所も見えない場所も、塗りにくい場所も塗りやすい場所も、塗れるところはすべて重ね塗りされて綺麗に仕上げられているということです。
施工事例を具体的に挙げてみます。
見えにくい場所もしっかりと塗装
外から見えにくい場所は、塗装が不十分になりがちの場所でもあります。
雨どいで隠れてしまう屋根先端にある水切り(唐草トタン)。
場所的に塗りにくく足場があってはじめて手の届く場所です。
コロニアル屋根はこの水切りは割合と厚みがあって丈夫ですが、トタン屋根の場合はとても腐りやすい場所でもあります。
同じような場所ですが、こちらは水切りと雨樋の隙間から見えている破風板。雨樋が邪魔をして破風板が奥まで塗りにくい。
奥まで行き渡らせるには、平たい刷毛(平刷毛)で塗ったり、雨樋の上に隙間があればそこから塗ることもあります。
テラス屋根や波板の屋根の上、ベランダの下に屋根がある場合は這うような体制で作業する必要があるため、とても塗りにく場所できれいに仕上げるのも困難しいうえ時間も掛かります。
特にベランダの下にある屋根の場合は、ベランダの床を外すして作業をすることもあり、ほこりや枯葉、ゴミなどが固まって溜まっていたりするので、十分な掃除や洗浄をする必要があるので、塗装作業までに時間を要する場所です。
細かく時間がかかる部分もきっちり塗装
刷毛で細かく地道に塗る場所は手間が掛かります。
ローラーで一気に塗れる場所もあれば、刷毛でなければ塗料が行き渡らない場所もあります。しかもしっかりと十分な塗料を行き渡らせるには、細かい作業が必要です。
スレート屋根
スレート屋根は、ローラーだけで大部分の塗装ができるコロニアル屋根に対して、大部分を刷毛で塗らなければならないアーバニーという種類の屋根があります。
スレートの1枚1枚の間が広いので、その隙間は刷毛でなければ十分に塗ることができない場所です。
格子や濡れ縁、雨戸など
細かく手間がかかる代表選手です。
1本1本塗る必要があります。
一般の塗装において一番多いのが雨戸です。
とおなじ面積の外壁を塗る場合、雨戸はその約3倍ほじの作業量が必要です。
さらに築年数が経過した家の場合、格子の中に木製の窓枠を塗る時があります。
またデザインにこだわりのある格子や、フェンスのようなものも最近では増えています。
隙間から刷毛を入れて、細かい部分までしっかり塗らないといけないため、非常に手間がかかる作業のひとつです。
ガラリ状の戸袋、濡れ縁、ウッドデッキなどは、木製になると塗料の吸い込みも増すため、それ以上に手間が掛かります。
玄関まわりはガラスがはめ込まれている場合、ガラスにつかないような細かい作業や養生も必要で、デザイン性を追求するために細かく入り組んだ作りになっていることも多くあります。
ローラーで塗るより刷毛で塗る細かい作業が多くなります。
軒天井
一般的には軒天には平らでフラットなベニヤやケイカル板を使っていますが、築年数が経過した家の中には、仕切られたような形になっていて刷毛とローラーをそれぞれ使い分けしなければ塗れない場所もあります。
塗装作業前の下準備もしっかりしている
本当は何事もなくすんなり塗装に入れればいいのですが、そのままでは塗りにくいものを外したり、塗装をするまでに準備が必要だったりと、あることをしなければ、塗装作業に着手できないものもあります。
塗装作業をするうえで邪魔になってしまう、雨戸やサッシの取り外し、ツタや植物を取り除く作業がよくあります。
劣化した古い塗膜やカビなどの除去も必要です(下地調整)
クラックの跡が目立ち過ぎる、異様な塗装はがれなど、前回の塗装作業の影響で本来は必要のなかった準備が必要になることも少なくありません。
作業の種類上、見積もりには入ってないものも多くありながら、実際には時間が掛かるものも少なくないため、これらの作業で肝心の塗装作業にしわ寄せがいかないように確認しておくことも必要です。
塗り分けが必要
これも多くの見積もりには入っていない作業項目です。
塗装は使う色が多ければ、それだけの分の刷毛やローラー、塗料の入れ物(下げ缶)も使います。
また溶剤・水性、一液と二液などの塗料種類の違い、木部用・鉄部用などの素材に対する使い分けの違いでも、それだけの材料と道具が必要になり作業量も異なってきます。
施工に対しても、外壁の中で鉄部や木部が散らばっていたり、1階と2階で色を塗り分けるということもあります。
塗装業者にとって塗り分けが少ない工事は、塗りやすく手間も掛かりませんが、性能的な問題や、外観的にはメリハリのない単純な色づかいとなってしまう恐れもあります。
塗り分けは塗装にはつきもので基本的な作業ですが、この違いを知っておくことで、品質の差が少しでも見極められるのではないかと思います。
塗料を多く消費する素材
外壁の塗りやすさで、品質と価格は大きく上下します。
ツルツルの外壁とザラザラで凹凸がある模様の外壁では、3倍以上の消費量の違いや時間が掛かることもあります。
外壁の模様がザラザラならば、凹凸の部分まで塗料を行き渡らせる必要があるのですが、それには多量の塗料を消費し、塗るのにも時間が掛かってしまうということです。
モルタル吹き付けタイル
塗料の消費が激しいモルタルリシン
モルタルスタッコ
またサイディングはモルタルに比べてツルツルで塗りやすいものが多いですが、ALCの場合で意匠性を追求したレンガ調やタイル調ものは、細かく区分けされているような模様のため、ローラーでは塗れず壁全体を刷毛で塗装するようなものもあります。
見積書では塗料の缶数の明記など、品質を保つために薄めすぎで塗られることがないように必要な量を知る必要もあります。
このように、手間のかかる作業でも手を抜くことなく、また、部材の種類や状態に合った適切な種類の塗料で、適切な濃度を守りしっかりと施工されていることが、質の良い外壁塗装工事と言えます。
適切な施工には、安すぎもしなければ、高すぎもしない、適切な費用がかかります。
では、適切な価格の業者を見つけるポイントとは?
塗料の種類の違いでの価格と品質は?
よほど特殊な塗料(断熱など)や高級塗料(フッ素など)を除けば、一般に多く使われている塗料の中での種類の違いによる塗料価格の差は、家全体で違ってもせいぜい5万円程度です。
塗料の種類の差で塗装の品質はもちろん変わりますが、ずっとキレイを保ったまま汚れない塗料というものはなく、あまり高価な塗料で塗っても、家の場合は外壁より先に傷んでくる素材の「木部」や「鉄部」があるので、10年以上確実に持たせられる塗料があるのかといえばそうでもありません。
塗装の耐久性はその家の環境にも左右されるので、ただ単に高価な塗料というよりかは、その家の傷み具合に合った塗料を選択し、それではじめて高価な塗料が生かされるのだという認識を持つことが大切です。