シール(コーキング)とは?
家の外壁サイディングの特徴といえば、ボードとボードの境目にある継ぎ目です。
これを「目地」といいますが、この場所と窓などのサッシまわりには、シールという、ゴム状のものが埋め込まれています。
このシールの事をシール・コーキングともいいます。
新築時、サイディングボードを張り終わった工事の後、はじめはマヨネーズ状になっているシールを目地などに注入していき、時間がたつとゴム状に固まっていきます。
時間による経年変化
新築の時は上から塗装をせずに、シールそのものがむきだし状態のため、紫外線が直接あたる格好となって劣化していきます。
特に、家の北東側より陽のあたりがつよい南西側の劣化が激しくなります。
そのため、のちのちの雨水の浸入を防ぐためにも、塗装前にシールの打ち直しの交換工事が必要になってきます。
専門用語では「打ち替え」ともいいます。
打ち直しをせずに塗装も可能かもしれませんが、せっかく足場を組んで工事するわけですから、多少の費用は加算されてしまいますが、長持ちするということを考えれば、必ずやっておいたほうがいいでしょう。
紫外線によってコーキングの表面にヒビが入っているのがわかります。
コーキング撤去作業のようす
コーキングの劣化によって肉やせがおきています。
シールの傷みかた
コーキングが劣化でひび割れている
サイディングの断面からの剥離
肉やせとひび割れ
肉やせ
劣化とともに、シールそのものがやせ細っています。新築時に施工したときのシールのボリューム不足も考えられます。
はく離
サイディングボードの断面から、はく離しています。紫外線による肉やせも原因ですが、新築施工時のシール注入前におこなう、プライマー(接着剤)不足も考えられます。
シーリング打ち換え前の下準備
カッターを入れて、劣化した古いシールを撤去していきます。
撤去したシール
撤去後はこんな感じです
目地の中は金物があります。まれですが 家によっては雨水の浸入で錆びているものもあります。
シールを注入したとき、横にはみ出してしまうと仕上がりが汚くなってしまうために、マスキングテープを貼っていきます。
職人がをコーキング注入箇所にマスキングテープを貼っている。
この目地にコーキングを注入します。
接着剤(プライマー)をハケで塗っていきます。この作業が甘いと、はく離の原因になります。
シーリング材の種類は2種類あります
ウレタンと変性シリコン
ウレタンと変性シリコンという品質の異なる2種類があります。
一般的に変性シリコンのほうが質は上で、価格も若干高い傾向がありますが、ノンブリードタイプ(塗装を侵して汚してしまう成分が入っていない)であれば、どちらでも構いません。
変性シリコンの場合は、シールがむき出したままの状態でも、紫外線による劣化が少ないメリットがあり、ウレタンの場合は、塗装との密着が優れています。
ノンブリードタイプを使うのは必須かもしれませんが、シリコン、ウレタンとも大きな差はありません。
1液タイプと2液タイプ
さらに、1液タイプと2液タイプの2種類に分かれます。
1液タイプのシーリング材
ホームセンターでもよく売っているのが、このタイプです。
そのまますぐにガンにセットして注入できるタイプです。 1本1本のカートリッジ式です。
2液タイプのシーリング材
2つの材料を、専用の攪拌機を使い、それぞれ混ぜ合わせてから使用します。
変性シリコン2液タイプのシーリング材料
主剤に硬化剤をいれます。ちなみにこの材料は変性シリコンです。
色をつける場合はトナーをいれます。
専用のかくはん機で15分ほど混ぜ合わせます。
練ったシール材をガンに吸い込みます。
ガンに吸い込んでは目地に注入、吸い込んでは注入という作業の繰り返しです。
サイディングが長持ちするコーキング職人の技
工事後の効果と事前チェック
工事後は固まったシールの上から塗装をするため、シールにあたる紫外線がブロックされることにより、新築時からの劣化してきたむき出しのシールよりも、断然に長持ちできるようになります。
また、まれにむき出しではないシールの上から塗装がされているサイディングもあります。
一見ひび割れているように見えるものもありますが、塗膜がひび割れているだけで、シール自体はまだ丈夫なものもあるので、本当にシールまで工事する必要があるのか確認してもらいましょう。
劣化したサイディング目地のコーキング
コーキング注入そして塗装作業完了後の外壁