屋根塗装工事
家の中で一番多い屋根のタイプがコロニアルというスレート系の屋根です。カラーベストとも言います。
はじめて外壁塗装を計画している人の中の多くの人は、足場を組むついでに屋根の塗装を一緒に行ってしまおうというわけです。
ローラーで屋根を塗る職人
コケ類が屋根全体を覆っている状態
一昔前の塗装では、足場なしでの屋根塗装もよく見かけましたが、最近では足場がないと危険なうえに念入りな作業ができません。
また危険防止以外にも、足場の周りにはメッシュシートをぐるっと一周張り巡らせるわけですから、お隣などに塗料の飛散などを防ぐことができます。
軒先で作業する職人。作家の危険がともなう。
作業中滑り落ちても落下しないように、足場は屋根の上まで突き抜けている。洗浄時の隣近所に汚れ水の飛散を防止する重要な役目も。
特にコロニアル屋根の場合、築10年ほど経過すると、屋根の上にはコケや藻、頑固にこびりついたほこりや汚れが付着しています。これを高圧洗浄機というものを使いジェット水流によって水洗いするのですが、このときにそういった汚れやコケなどが飛び散ります。
エンジン式のジェット水流でコケ、汚れを洗い流す。
近くには洗濯物を干すご近所も。メッシュシートは必須
もし周りにメッシュシートを張った足場がなければ、お隣などに迷惑をかけることになってしまいます。
そういった意味でも、たとえ外壁塗装をしなくて屋根塗装の場合のみのときでも、必ず足場を組んで工事をしたほうが賢明でしょう。
作業工程的には・・
①高圧洗浄
②鉄部の下地調整(コロニアルでも登頂部や軒先側の唐草水切りなど必ず鉄部が使われています。)
③鉄部のさび止め塗装
④コロニアル自体へのシーラー塗装
⑤鉄部、コロニアルを含めた屋根全体を中塗り
⑥おなじく全体を上塗りにて仕上げ
最近では、夏場の屋根の温度が非常に熱くなるということで、ヒートアイランド現象などの環境的な意味と、冷房費などの電気代を安くさせるという両方の意味から、遮熱塗装や断熱塗装というものもでてきています。
使う塗料も主流のシリコンやワンランク上のフッ素塗料まであります。
いずれもコロニアル屋根は、見えない場所ということもあって、トラブルの発生が少なくない場所ですから、高圧洗浄をはじめたっぷりとした塗料を使用してもらいましょう。
屋根塗装の作業工程
高圧洗浄
塗料の密着力を上げるため 高圧洗浄機を使用して、家全体を丸洗いしていきます。
屋根の上にはコケや藻がびっしりと発生している事が多いので、削り落すように洗浄します。
最大150気圧の高圧水流で屋根上の汚れをしっかりと洗い流していきます。
黄緑がかっているところは汚れ、赤い部分は汚れを落としたところ。
下地調整
クラック(ひび割れ)の補修や棟押さえなどの鉄部には紙やすりを当てて、わざと小さな傷を付けておきます。
わざと微細な傷を付けておく事により塗料の密着力が上がり、剥がれにくい塗装へと仕上げることが出来ます。この時、家自体の歪みで釘が抜ける事もあるので、抜けかけた釘がある場合は打ち直しておきます。
また、トタンの場合は屋根全体を研磨・目粗ししておく必要があります。
他にも傷んでいる部分があったら徹底的に補修することにより塗膜を長く持たせることが出来ます。
クラックが入っているところはシーリング材を擦り込んで補修しておきます。
紙やすりなどを使って小さな傷を付ける事で、密着力があげることができます。
下地調整をどれだけしっかり行ったかで塗料の長持ち加減も変わってきます。
鉄部下塗り
コロニアルの場合、スレート部分のシーラー塗装を行う前に、棟押さえの鉄部へ錆び止め塗料を塗布。
トタンの場合はローラーで塗装できない桟のある凸の部分を刷毛で塗装した後に、ローラーで塗り進めます。
どちらとも完成色に合わせて、朱色、灰色、白、青鈍色など様々な色を使い分けています。
鳩小屋の鉄部を朱色の錆び止めで厚く塗り重ねました。
こちらは白色の錆び止め。錆びの発生を防ぐ効果がある下塗り塗料です。
屋根塗装
コロニアル屋根
基本的には正しい希釈率で用意された塗料での「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗り重ねます。
ただし、遮熱塗料のサーモアイや断熱塗料のキルコートなどを使って作業する場合は4回~5回。
時には更に塗り重ねることもあります。
コロニアル部分にサラサラと水のようなシーラーを塗布していきます。
下塗りが終わったら完成色で中塗り。この時点でも良い艶が出ています。
上塗りが終わると陽を反射して、ピカピカと綺麗な光沢が浮かびました。
トタン屋根
下塗りとして錆び止めを塗り終わったら、中塗り、上塗りと高級塗料を厚く塗り重ねていきます。
場所によってはローラーに長柄を取りつけて作業を行うこともあります。
浮いた塗膜を金ヘラなどを使って、残さず除去します。
全体に錆び止めを塗布した後で完成色を塗布していきます。
手が届かないようなところはローラーに長柄をつけて、作業を続けます。
縁切り
屋根塗装を繰り返すと少しづつ塗膜がミルフィーユ層に積み上がっていってしまいます。
空いていた隙間が埋まると毛細管現象を引き起こし、屋根の内部に水が浸入して家を傷む原因の1つに。
その対策として屋根の隙間にタスペーサーを差し入れ、隙間をあける作業を縁切りと言います。
縁切りに使う道具たち。右は皮スキだが、硬度があって縁切りをしやすい。
硬貨2枚分しっかりと隙間の空いた屋根の間の様子。
完成
外壁塗装、完成!青空と対比する明るい黄色に仕上がりました。
ご主人も明るい笑顔で撮影に応じてくれました。