工事トラブル

塗装工事のトラブル

家の塗装工事はあらゆるリフォームの中でも、トラブルが断然におおい工事です。

なぜトラブルが起きてしまうのか

・家の外から傷みを指摘することができるので、悪質業者の的になりやすい。

・いったいどんな工事がいい塗装と呼ぶのか、工事の質が判断できない。

・雑な工事でも、見た目はキレイに仕上がってしまうため、手抜きされやすい。

・とにかく知識不足に乗じた、業者に都合のいい工事が可能。

訪問販売業者

塗装業者の中で、一番トラブルになりやすいのが訪問販売業者です。

これは国土交通省所管の住宅リフォーム紛争処理支援センターの調査でも明らかになっています。

あまり知られていないことですが、塗装工事の訪問販売業者というのは、厳密にいうと昔からあるペンキ屋さんと呼ばれる塗装屋ではありません。

もちろん、塗装業者とペンキ屋さん塗装屋、塗装店などは呼び名が違うだけでみなすべておなじ業者ですが、訪問販売業者というのは契約に徹した会社なので、知識は豊富にあっても実のところ現場に関する塗装技術はありません。

工事はその「ペンキ屋さん」が下請け業者として作業することになります。

見分けの判断も、訪問販売業者と塗装業者では区別がつきにくいところがありますが、資格などで判断はできます。

資格から見る塗装業者のえらび方

訪問販売社員のセールスマンは契約の件数に応じた高額な歩合給です。

そのため、オーバーな家の傷みの指摘や契約を急いだり、手抜きを承知のうえで、契約のためならできないものまでもできるという話をする場合もあります。

工事そのものは下請け業者が行うのですが、不当に安い請負代金を予算として与える場合がほとんどなので、いい工事を望むことはできないと思った方が間違いはないでしょう。

悪質リフォーム問題が社会問題化してからは、訪問販売も仕事としてしにくくなっているようで、インターネットをみればわかるように、今では訪問販売系を含めた同じような業者がインターネットにその場を移しています。

塗装後のトラブルとはどういうものがあるの?

①外壁にのみ「高級塗料」の外壁塗装 → 木部・鉄部が先に痛んでしまう

家には壁・木部・鉄部など、さまざまな素材が使われています。

今では多くの業者が高級塗料をメインにしていい工事をうたっています。

ただし、すこしここで慎重さも必要です。

コストの都合で外壁にのみ「高級塗料」が使われる場合も少なくなく、その他の素材にはそれ以下の塗料が使われるケースもあるため、外壁以外の場所に使用する塗料にも気配ります。

特に家の外観に木部、鉄部が多く使われている場合は、外壁よりも早く痛むことは間違いないので、高級塗料であれば外壁の塗料と同等の塗料で塗装してもらうようにします。

たとえば、外壁に「シリコン塗料」を塗るのであれば、木部、鉄部にもシリコン塗料という具合にです。

外壁に「シリコン塗料」、木部、鉄部には品質的にシリコン以下の「ウレタン塗料」では、家全体の耐用年数としてはバランスのとれたものにはなりません。

外壁はまだ塗装しなくて大丈夫でも、木部や鉄部が先に傷んでしまって悩んでいる人は意外にも多いのです。

②重ね塗りをしない薄い塗装 → ヒビ・カビ・汚れが再発してしまう

重ね塗りがなされていないと、長持ちしません。

適正な塗装は、通常3回(下塗り・中塗・上塗り)塗って仕上げます。

ただし、同じ色を何回も塗ってしまうと重ね塗りをしているかどうかわかり難くなるため、下塗りはもちろん、中塗りにも色を変えて塗装する場合もあります。

○下塗り塗料の色に多いのは・・

外壁・・・下塗りは「白」か「透明」

木部・・・下塗りは「白、薄茶など」

鉄部・・・下塗り(サビ止め塗料)は「赤サビ」「グレー」「クリーム」「白」

悪い例・・塗料の使い分けにコストが掛かるため、木部にも鉄部用のサビ止め塗料で下塗りしてしまう。

これは昔から本当によくある例です。

○中塗り塗料の色は、塗料メーカーで決められた色というものはありません。業者自身が色を変えるなどしてさまざまな色で塗装することができます。

○仕上げの上塗りは、もちろんこちらの希望の色で塗装してもらいます。

③塗料のうすめすぎ → ヒビ・カビ・汚れが再発してしまう

塗料を塗るためには、水性塗料であれば水、溶剤塗料(油性)であればシンナーである程度うすめてから塗ります。

塗料の機能を十分に発揮させるため、何割まで薄めていいかという塗料メーカーの規定があります。

もし、業者のコストの都合で必要以上に塗料のうすめすぎをした場合は、塗膜がうすくなると同時に、塗料性能(ヒビ・カビ・汚れに対応する能力)を、大きく低下させてしまいます。

たとえば、10缶の塗料が必要なところを5缶で済ましてしまうなどです。

これをしても、素人目からは仕上がりに大差ありません。

塗料のうすめすぎは、業者に次のメリットをもたらします。

○塗料をうすくのばすため、通常よりも断然に早く塗れる分人件費のカットができる。

○塗料代を浮かすことができる。

塗装の目的は、しっかりとした「塗装膜」で家を保護してもらうことです。

工事費用には、足場・養生、人件費などの費用があって、塗料代はその全体の費用の中の2割いけばいいほうです。

少しの塗料のコスト節約で、足場代や人件費などの費用を無駄にしないためにも、たっぷりの塗料をつかってしっかりとした肉厚のある塗装に仕上げてもらいましょう。

④下地調整(塗る前の下準備)の不足 → 塗膜のハガレ

「最高の塗料」、「うすめすぎ無し」、「3回塗り」と、この条件をすべて満たしている塗装でも、すべてがムダになってしまう場合があります。

それは「下地調整」をおろそかにしてしまうことです。

しかも塗装作業の中で、この「下地調整」が一番作業としてやったかやらないかわからない作業でしょう。

下地調整とは、サビ・よごれ・はがれかかった古い塗膜などを、専用の道具を使って取り除いたり研磨して、塗装をはがさせない下準備の作業のことをいいます。

下地調整をしないまま塗ることは、よごれの上や、はがれかかっている塗膜の上から塗装するということなります。

「最高の塗料」、「うすめすぎ無し」、「3回塗り」でも、はがれてしまえばすべてが無駄に終わってしまいます。

外壁や屋根の場合に行う下地調整は高圧洗浄ともいいますが、木部や鉄部は研磨作業がメインといえます。

⑤間違った塗料の選択 → ヒビ・カビが再発してしまう

ヒビ割れには、ヒビ割れに強い塗料、汚れには汚れに強い塗料を使ってもらいます。

業者にしてみれば、家の傷みの状況ごとに塗料を使い分けるのは、それだけの種類が必要になって、在庫が多くなり管理が大変になります。

さらに、その種類分だけの色、木部と鉄部のそれぞれ専用の塗料、下塗りと上塗りの塗料など、それぞれ家の状況によって、とても多くの塗料種類の在庫を抱えなければ、お客さんそれぞれの傷みの状況や要望にあった工事をすることができません。

倉庫や材料置き場などの管理上コストがかかるため、家の状況に合わせることができずに、いつもおなじ塗料を勧めてくる業者もあるようです。

業者の都合で間違った塗料で塗装してもらわないように、家の傷みに合致した最適な塗料で塗装してもらいましょう。

以上、完璧な塗装工事をするためには様々な要因があります。

工事する前とあきらかに思っていた工事と違うような状況の場合も出てくるかもしれません。

もし、業者との話し合いでもトラブルの解消にならない場合は、「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」に相談する方法もあります。

住宅リフォーム・紛争処理支援センター

http://www.chord.or.jp/

第三者機関なので中立的な立場から、相談に乗ってくれます。

リフォーム問題にくわしい弁護士への相談もできます。

住宅リフォーム・紛争処理支援センター 電話窓口:0570-016-100