塗膜膨れ
塗膜膨れが起こる原因
(1) 逃げ場を失った溶剤揮発による膨れ
塗り重ね乾燥時間不足
(2) 下地
ザラザラ面・ツルツル面問わず
(3) 熱による膨れ
サイディングボード面、モルタルなど
(4) 塗り替え回数が増えることによる、何層になることも原因
溶剤膨れ
事例
予防
溶剤系の塗料が乾燥していない内に、その上から重ね塗りすると、熱により溶剤が揮発し、その上の塗膜を押し上げてしまうため、塗り重ね時間のインターバルを良くとる。
置換発泡
事例
リシンやスタッコなどのザラザラ面で、塗料を良く吸い込む陽のあたる外壁面にみられる。下塗りなどによって下地が完全に覆われずに、微細な巣穴からの湿気や空気の押し上げによって発泡する。冬季作業で異常がなくても、時間が経過し気温が高くなる夏場に表面化してくることもある。また熱を多く受ける影響から、淡彩色より濃彩色のほうが膨れの原因が高くなる傾向にある。
原因
冬季の作業でも夏場になってあらわれてくる場合もある。陽のあたりが良く濃彩色の方が多い傾向にある
対策
下塗り材(シーラー・フィーラー)の希釈率を上げて、ザラザラや凹凸の激しい外壁面においても、特に凹部には、微細な巣穴がなくなるぐらい塗料を良く行き渡らせる。
蓄熱水蒸気膨れ
事例
弾性系の下塗りフィーラー塗料+シリコン塗料の塗り替え。数年後に大きな膨れが発生しクレーム。
原因
蓄熱水蒸気による膨れ
蓄熱水蒸気膨れのメカニズム
このほか下地が弾性塗装の場合は注意が必要
旧塗膜の膨れ
事例
相当年数が経過している場合による旧塗膜の膨れと、塗り重ね層の間にカビが発生したことによる塗膜の膨れとはがれ。
原因
過去に何層にも塗膜が塗り重ねられている場合、壁面では塗膜自身の厚みによる重みによって剥離する場合がある。そもそも塗り替えから相当数の年数が経過している場合は、付着力自体が低下していることも多い。塗り重ね層にカビが発生して塗膜の膨れと剥離になる原因は、塗り替え時による高圧洗浄不足とクラックからの雨水が侵入して広がったためと思われる。
対策
古い建物などの改修は下地診断調査などを実施する。ほか打音検査も合わせて実施する。
付着力が低下している旧塗膜の除去も含め、密着力を高めるために念入り高圧水洗をする。
屋根塗装の膨れ
事例
コロニアル屋根を専用塗料で塗り替えた。
原因
高圧洗浄や下塗り(シーラー)の不足
対策
念入り高圧洗浄をする。特にコロニアル屋根の高圧洗浄には時間を取って丁寧に行う。時間が足りずに洗浄不足となるため、足場と同日に洗浄は行わない。
縁切りについて
塗装を行うとスレートとスレートの重なり部分を塗料で埋めてしまう結果、その隙間も埋めてしまう。
ただし重なり部に少しでも隙間があると、毛細管現象によりスレートの重なり部分から雨水が上に登ってしまい、雨漏りの原因になることが指摘されている。
隙間がほとんど埋めてしまったため水分は蒸発せずに溜まってしまい漏水の原因となる。
ただ新築後から始めての屋根塗装の場合は、隙間が埋まることがないため、雨漏りすることはほとんどなく不要。2回目や3回目からの屋根塗装には配慮する。
※最右下写真は初回の屋根塗装においても10円玉の厚さほどの隙間があいている写真。
傾斜が少ない場合や塗膜に厚みが付く遮熱や断熱塗装の場合は、タスペーサーという部材やカワスキ、水抜きカッターなどで縁切りを行うようにする。