サイディングの種類は、窯業系、アルミ・スチールなどの金属系、木質系、樹脂系に大きく分けられます。
塗替えをするのは主に窯業系。
この建材はセメントと、補強材として繊維質などを混ぜ込んで板状に成形したもので、一般的な住宅で広く普及されている外壁材です。
サイディング外壁の塗装では、目地シーリング(コーキング)も重要。
シール専門職人によって、2液形成のシーリング材をたっぷり充てんし肉厚なシーリングに仕上げ、ひび割れの再発予防、また雨水の侵入を防ぎます。
塗装は一級塗装技能士が担当し、チョーキング(白亜化)が起きていると塗料の密着性に影響が出るため、高圧洗浄で入念に洗い流してからメーカーの仕様書通りの塗装方法で、濃厚な3度塗り。
厚みのある塗膜をつけて、耐久性の高い塗替えに仕上げます。
サイディングの傷みの原因
シーリング(コーキング)の劣化
目地へのプライマー塗布不足によるシーリングの剥離や、シーリング自体の厚みが少なかったための肉痩せ、また、経年劣化によるひび割れ等があります。
小さな隙間からでも雨水が浸入し、内部へ周ることで家自体が傷んでしまう要因に。
クラック(ひび割れ)
サイディング自体のクラックは、ボードを留めているビスから起こることがありますが、モルタルと比較するとクラックの発生は少ないと言えます。
珍しい例ですと、サイディングボードの小さなひび割れから水を吸収して、壁の角にコケが生え、内部から持ち上げられてしまった事例があります。なぜ角なのかは分からないのですが、地震の揺れによる影響なども考えられるかもしれません。
チョーキング(白亜化)
塗装が紫外線などにより劣化してくると、塗料に含まれる顔料が白い粉として塗装面に浮き出てくる現象。この状態で塗替えをしても塗料の密着性が図れなく、塗膜が剥がれやすくなってしまいます。
サイディングの傷みの対策
シーリング(コーキング)の打ち替えは1液と比べ、たっぷり使用できる2液形成を使用。
機械でよく撹拌し、硬化不良を起こさないようにします。
シーリングの上から塗装をするので、塗装面に汚れが付着しないノンブリードタイプ、そして密着性のよいウレタンを選びます。
シーリングの剥離予防として、目地には密着プライマーをしっかり塗布。
撹拌したシーリング材を専用ガンに吸入し、目地へふんだんに充填。
バッカーというヘラで、空気が入らないように気を付けながら目地の奥まで密着させ、剥がれにくく肉厚なシールに仕上げます。
サイディングボードのクラックはシーリング材を注入して補修します。
ですが、状態が酷く修復が難しいようであれば、ボードの張り替えをします。
また、ボードを固定しているビスにサビがある場合は錆止めを塗布し、凹んでいる場合はパテで埋めて平らにします。
チョーキングは塗替え前の水洗い時に、高圧洗浄機を使用して他の汚れやカビ等と一緒に、入念に洗い落してから施工に入ります。
サイディング長持ち施工チェック
2液形成のシーリング材を使用する際に気を付ける点は撹拌。
基材(硬化剤)と主剤にトナー(着色剤)を入れるのは、シール自体に色づけをする場合もありますが、きちんと撹拌されているか確認する目的があります。
機械による撹拌中も、ときどきヘラを使用して缶の隅々まで混ぜ合わせることで硬化不良を防ぎます。
サイディングの塗替えでは、メーカーのマニュアルに沿って材料を準備、塗装工程を踏むことで塗料の持つ性能を最大限に発揮させます。
一級塗装技能士による濃厚な3度塗りで肉厚な塗膜をつけ、耐久性を高めた長持ちする塗装に仕上げます。
塗膜をはがさないための「下地調整」
外壁の下地調整は高圧洗浄
家全体に高圧洗浄をして汚れやチョーキングを洗い落として、塗料の付着をよくしてあげます。
木部、鉄部の下地調整
主に手作業で、汚れほこりなどを掃除して、サンドペーパーやナイロンタワシのようなもので研磨をして素材表面に微細なキズをつけて荒くして、塗料の密着性を高めてあげます。
鉄部にサビが発生している場合は、ワイヤーブラシや時には 電動工具をつかい さびを落とします。
さらに塗装をはがさないための接着剤の役割をする「下塗り」
塗料を塗装する前に、必ず塗らなければならないのがこの下塗り塗料で、接着剤の役割をして、塗料の密着性を高めます。
下塗りには、
「外壁専用の下塗り塗料」
「木部専用の下塗り塗料」
「鉄部専用の下塗り塗料」
と、それぞれ素材によって使い分けます。
工事が完成したときの仕上げの色と、下塗り塗装の色はちがうので、手抜きのように下塗りがぬれていないということは色で確認することもできます。
たとえば、外壁の完成がグレーだとしたら、下塗りは白。
木部の完成がチョコレートだったら、下塗りは茶という具合にです。
外壁サイディング下塗り
木部下塗り
鉄部下塗り
雨どい(トヨ)下塗り
必要以上の塗料のうすめすぎをせずに、塗装に厚みをつける「中塗り」
上塗り1回目、上塗り2回目というような呼び方のときは、この上塗り1回目が中塗りと呼ぶこともあります。
要するに、上塗り塗料を2回重ねて塗るときの1回目が中塗りになります。
外壁サイディング中塗り
木部中塗り
鉄部中塗り
仕上塗装の「上塗り」
希望の色で仕上げます。
やはり必要以上にうすめすぎのない塗料で、ハケやローラーの跡ができるだけ残らないようにしながら、丁寧に塗装していきます。
基本的には、上塗り(仕上げの完成の色)と中塗りの色はおなじです。 業者からすれば手間は掛かりますが、外壁の中塗りの色を変えて塗装することで、中塗りがキチンと塗れていることを確認する方法もあります。
外壁サイディング上塗り(仕上げ塗装)
木部の上塗り(仕上げ塗装)
鉄部の上塗り(仕上げ塗装)
雨どい(トヨ)上塗り(仕上げ塗装)
塗装が終わった後は、養生をはがして、塗料のはみだしや垂れてしまった部分を掃除しながら手直しして完成へと近づけていきます。
サイディング外壁Q&A
- Q.サイディングの塗替え時期はどう判別する?
- A.サイディングボードの色あせ、汚れや付着物が見える場合、または手で触ってチョーキング(白い粉)がつくようであれば塗装をする時期です。
- Q.デザインのあるサイディングボードなので、塗料で隠れてしまわないか?
- A.タイルやレンガ調など、サイディングボード自体のデザインを活かすクリヤー塗装もあります。日本ペイントのUVプロテクトクリヤーは紫外線や風雨による傷みを抑制し、汚れやカビなどを付着させにくくする塗料です。こちらを使用して塗替えをすることができます。
- Q.サイディングをクリヤー仕上げにする場合、シーリングの色はどうなる?
- A.2液形成のシーリング材を準備する際、基材(硬化剤)と主剤の他にトナーという着色剤を入れます。主に撹拌状態の確認のためですが、ここで外壁の色に合わせて色付けすることが可能です。塗料のように色も豊富なため、過去には赤い外壁に合わせて赤系、青い外壁に合わせてダークブルーに着色した事例もあります。
外壁サイディングの模様や風合いを生かすクリヤー塗装
普通のサイディング塗装は、そのまま塗装をするため、たとえばレンガ調やタイル調などの模様がある場合は、その模様が無くなってしまい、せっかくの風合いが損なわれてしまいます。
それを好まない場合は、いまの風合いを生かしたクリヤー(透明)塗装方法もあります。
代表的なのが、日本ペイントのピュアライドUVプロテクトクリヤー塗料です。
簡単にいえば、外壁サイディングの上にニスのようクリヤーな塗装をすると思えば、イメージすればわかりやすいと思います。
ただし、普通の塗装をした場合はシーリングを打ち直しした部分も隠れて見えなくなってしまいますが、クリヤー塗装の場合は丸見えになってしまうため、シール材の色を慎重に選ぶ必要があります。
光沢もつや有りから3部づやまで選べるため、つやがあまり好きでないという人にも対応することができる塗料です。
通常の塗装の場合
普通はこのような柄模様でも・・
塗装をすると全体的に一体感のある塗装になる。
このような場合も・・・
このようにカラフルな色にできるのが長所。
クリヤー塗装の場合は、今の模様がそのまま出る
タイル調
レンガ調
つや有り
3部づや
つや有りの場合は、太陽光に反射して美しいつやが出ます。
シーリングの色もそのまま出るため、シール材の色も慎重に選ぶようにする。
サイディングの豆知識
窯業系サイディングは防・耐火性能に優れ、地震にも強いと言われています。中越地震の際は、サイディングの剥離や脱落は見られなかったようです。
以前は一部の窯業系サイディングにアスベスト(石綿)が含まれていましたが、2004年にアスベストの全面禁止がされたため現在では使用されていません。
窯業系以外のサイディングには、軽量で紫外線に強い金属系、合板や天然の木を使用した木質系、劣化や退色の少なく耐久性のよい樹脂系があります。