キルコートとガイナの比較
知名度と施工実績
断熱塗料としての知名度は、現時点では、ガイナの方が高く、施工の実績もガイナの方が多いと思われます。
ただ、キルコートの知名度もどんどん高くなってきており、検索サイトで「断熱塗料」と検索すると、ガイナに劣らないくらい情報が出てきます。
この2つの断熱塗料が、現在の主流と考えていいでしょう。
ということで、このキルコートとガイナを比較してみたいと思います。
遮熱性能についての取り組みの違い
塗料製品は、塗料工業会が中心となり、JISの認定による規格化が進んでいます。
JISによる遮熱性能の測り方や求め方の規格が制定されたのが平成20年。
そして、遮熱性能製品自体の規格制度は平成23年の7月に制定されました。
その遮熱性能の規格項目には、反射率を含め13項目あります。
その中でも、野外暴露耐候性という、風雨さらされることに対する耐久性試験の結果が出るのに2年ほどかかってしまいます。
キルコートは、現在この暴露試験の真っ最中(2013年8月時点)で、この項目の結果待ちで、遮熱性能に対するJISの認定が降りることとなります。
さらにキルコートは、環境省の環境技術実証事業にも参加し、実証を受け、
「ETV(環境省環境技術実証事業ロゴマーク)」の掲載許可を得ています。
いっぽうガイナは、こういったJIS規格や環境技術実証事業には参加しておらず、
その予定も特にないということです。
ただ、ガイナはもともと、JAXA(宇宙航空研究開発機構)による宇宙ロケットに用いる断熱技術をもとに応用されて開発された塗料で、JAXAのH-Ⅱロケットに使用されているという絶対的な断熱性能への信頼があるので、JISなどの認定の必要性がないのだろうというこも考えられます。
実験デモ機での断熱効果の比較
2枚の鉄板(同じ大きさ・同じ厚さ)に、キルコート、ガイナそれぞれを、メーカーの規定通りに塗装して、実験デモ機にセットし、鉄板裏面の温度を比較してみた結果です。
この結果では、キルコートの方が2.4℃差で有利な結果が出ました。
ただ、こちらは室内で行われたものなので、外や、様々な環境で行うとまた変化が有り得ます。
断熱性能関しては、キルコート、ガイナともに同等の性能があると判断できるでしょう。
塗膜性質上の違い
キルコートは伸縮性能が売りの1つなので、伸縮率で比較すると、圧倒的にキルコートの性能が勝ります。
モルタル外壁の場合、クラックにどう対処していくかということも塗料の選定要因のひとつとなりますので、
こちらは判断材料の大きな参考の1つと考えられるでしょう。
断熱塗料というと、対候性が高いというのも特徴の1つです。
その対候性にも、キルコートとガイナでは違いがあります。
この、SWOM式、XWOM式というのは、それぞれ対候性を試験する、試験機の違いになります。
さらに注目すべきは、その対候性試験の試験時間にあるでしょう。
どちらも長時間の対候性試験での実証があります。
同じ試験期間で比較しているものではないので、どちらが優れているとは言えませんが、
どちらもフッ素樹脂塗料に相当する対候性があると考えられています。
周辺商品のラインナップ
塗料そのものの比較で、どちらが優れているかという点に注目しがちですが、
外壁塗装は、塗料同士の相性の合う、合わないといったこともあるので、主剤だけでなく、下塗り材などが重要になる場合があります。
また、「落ち着いた色合いにしたい」や、「明るく華やかな色合いにしたい」など、色合いによる外観を気にされる方も多々いると思います。
こちらも比較・検討の参考としてぜひご覧ください。
主剤との接着用として使用される、プライマーやシーラーについてです。
主に接着の効果がメインですが、下塗り材にも様々な機能をもつものがあります。
主剤の塗膜を守るために、最終的に表面に塗装する塗料のことです。
それぞれの色のラインナップも比較してみましょう。
さらに様々な機能があります
同じ断熱塗料といっても、それぞれの塗料にしかない機能や、特化させている機能があります。
上でも紹介していますが、キルコートの特化ポイントといえば、なんといってもこの塗膜の伸縮性です。
この伸縮性は、他の断熱塗料はもちろん、弾性塗料にもなかなかないポイントといえます。
クラックが発生しやすいモルタルのような壁でも大活躍でしょう。
いっぽうガイナには、ガイナ独自の機能といえる、空気のイオン化作用があります。
これは、マイナスイオン、プラスイオンのバランスを調整し、雑菌などが繁殖しにくい空気の状態を作り出すという機能です。
標高1000メートルくらいの高原のようなキレイな空気を作り出すことが期待できます。
大気汚染のような問題が注目されている昨今では、この機能が大活躍でしょう。